【司法書士監修】遺言の内容に納得できない。拒否したい。
親族の死後、開封された遺言の内容が想定と大きく異なり、納得がいかないこともあるでしょう。「この遺言、受け入れたくない」と感じたとき、選択肢は主に二つあります。
1. 遺産全体を拒否する:「相続放棄」
遺言で特定の財産(例えば、多額の借金のみ)を相続することになった場合など、遺産全体を拒否したいときには「相続放棄」という方法があります。
- 効果:相続放棄が認められると、初めから相続人ではなかったことになります。その結果、プラスの財産(預貯金、不動産など)も、マイナスの財産(借金など)も、一切を相続しなくなります。
- 手続き:相続の開始(被相続人の死亡)を知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。この期間は「熟慮期間」と呼ばれ、慎重な判断が求められます。
- 注意点:一部の財産だけを放棄することはできません。遺産全体の受け入れか、全体の放棄かの選択になります。
2. 遺言の効果を拒否する:「遺留分侵害額請求」
「遺産の全てを拒否したいわけではないが、明らかに不公平で納得できない」という場合に検討すべきなのが「遺留分侵害額請求」です。
- 効果:兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、直系尊属)には、法律上最低限保証された取り分「遺留分」があります。例えば、愛人に全財産を譲るという遺言があっても、配偶者や子は自分の遺留分に相当する金額を、財産を取得した愛人に対して請求できます。
- 手続き:請求を受けた相手(遺言で財産を取得した人)に対して、内容証明郵便などで請求の意思表示をします。これにより時効が中断します。話し合いがまとまらない場合は、調停や訴訟に発展することもあります。
- 注意点:この請求権には時効があります。相続の開始及び侵害事実を知った時から1年、あるいは相続開始から10年で権利が消滅します。早期の行動が極めて重要です。
まとめ:まずは専門家に相談を
どちらの方法を選ぶにせよ、期限が定められているため、速やかな対応が必要です。
「相続放棄」は簡単にできる手続きではなく、一度行うと撤回は原則としてできません。また、「遺留分侵害額請求」は、金銭的な請求となるため、相手方との交渉が必要になります。
ご自身の立場や感情だけで決断する前に、まずは司法書士や弁護士といった専門家に客観的な事情を相談し、最善の道筋を示してもらうことを強くお勧めします。
(監修:司法書士 〇〇 ○○)
※本記事は一般的な情報を提供することを目的としており、個別の事案に関する法的助言を行うものではありません。具体的な問題に関しては、必ず専門家にご相談ください。